ステッチの方向は、作品の質感に大きな影響を与えます。ステッチの配置を慎重に選ぶことで、よりプロフェッショナルで洗練された、視覚的に魅力的なデザインに仕上げることができます。例えば、ステッチを形に合わせて配置することで、滑らかで均一な仕上がりになり、ステッチの重なりやステッチの方向を交互に変えることで、デザインに質感と奥行きを与えることができます。

Celeste Johnstonがデザインしたデザイナーズ コレクションをクロースアップして見ると、この葉のステッチはすべて、滑らかな外観を与えるために、慎重に隣り合わせに配置されていることがわかります。また、葉の中央の葉脈から端に向かうにつれて、自然界に見られるパターンと同じような角度がつけられています。

ステッチディレクションの重要性について、セレステは次のように語っています：

「植物刺繍を始めたばかりの頃は、ステッチの向きはあまり意識しないかもしれませんが、刺繍が自然に上達するにつれて、試してみることができるものです。私は、花びらや葉を実際に観察して、その自然なパターンをステッチの方向で模倣してみるのが好きです。花の中心から放射状に広がるように、サテンステッチを配置することが多いですね。葉っぱの場合は、葉っぱの線と同じ角度でサテンステッチを配置したいです。サテンステッチの方向は、刺繍の仕上がりを大きく左右するものであり、刺繍の腕が上がれば楽しいチャレンジになるでしょう。」

ステッチの方向を工夫することでまた、動きや流れを演出することもできます。Victoria Roseは、デザイナーズ コレクションのために制作した「オーシャン・レイン」のデザインで、効果的に使っています。

空に広がる斜めのステッチは、豪雨をドラマチックにイメージさせています。このステッチと対照的に、陸地には水平のステッチを配しました。また、海ではステッチの向きを変えて、手前のほぼ垂直から水平に近い角度まで緩やかに変化させながら、海の曲線を表現しています。

ステッチの方向は、形状の中でステッチを共感的に配置し、形状自体の形を強調することで、形状をより明確にすることができます。例えば、立方体の平面に沿ってステッチを配置するのと、同じ立方体の中で斜めに配置するのとでは、得られる効果が大きく異なります。

同様に、円を横切るように縫うのと、中心から扇状に縫うのとでは、まったく異なる効果が得られます。

ステッチの方向は、刺繍の重要な要素であり、見落としてはならないものです。ステッチの向きに気を配ることで、刺しゅうの見栄えをよくしたり、質感や奥行きを出したり、動きを出したり、形や線を整えたりすることができます。次に刺繍針を手にするときは、一針一針の向きを注意深く選んでみてください。